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転移した先は、お世話になった世界樹の前。
唯一私と対話出来た存在で、世界の異常を知らせてくれる存在。
『もう、行ってしまわれるのですか?』
念話が届く。世界樹からだ。
それは、どこか寂しそうだった。
『もう大丈夫。世界は安定したよ』
未だ一人で世界を安定させる事が本気で出来ないと思っている世界樹へ、大丈夫だと声を掛けるルミナス。
『それでも、私では・・・』
『あはは、大丈夫。自信を持って・・・この私が認めてるんだから』
『ルミナス様・・・』
実体があれば感極まって泣いていそうな感じで、名前を呼ぶ世界樹。
『世界樹には、あの子の親代わりを頼んじゃったよね。辛くなかった?』
『とんでも有りません・・・お姿はルミナス様に似ていて、少しやんちゃな所もありますが・・・それはもう、可愛いんです』
『そっか・・・それは良かった。これからあの子は、まだまだ世界樹に迷惑をかけると思う。聞く話では、中々にお転婆な子になってるんだよね』
『ええ、それはもう。』
思い出し、微笑んでいそうな感じで答える世界樹。
愛されてるなぁ・・・あの子は。
『世界樹はもう気付いてると思うけど、世界のゲートを開いたから、もうあの子も神界に行けるようになったんだ。別の世界から誰かがあの子に接触してくる事もあると思う。
逆に、あの子が他の神々に何かをする可能性もある。
私も自由に動けるようになったし、何か手に負えない様な事態になれば助けるつもりだけど・・・世界樹にも、守ってあげて欲しいんだ。任せても大丈夫?』
『勿論です。私も、自分の子のように思っていますから・・・』
『良かった。・・・それじゃ、私はもう行くよ』
聞きたい事も、伝えたい事も全部言ったから。・・・それに、いつでも会えるしね。
『はい。・・・また、来て頂けますか・・・?』
と、そんな可愛い事を寂しげに聞いてくる世界樹。
それにルミナスは、仮面を外して微笑んでみせた。
『勿論。世界樹があの子の事を大事に思ってるように、私も世界樹の事を大事に思ってるんだから』
『ルミナス様・・・ありがとう、ございます。』
こうして、ルミナスは世界へと傾いた。
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