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「お祖母ちゃん。今日お昼ご飯いらないから」
「あらそう? 出掛けるの?」
「うん。菊ちゃんと図書館で勉強することになったんだぁ」
テーブルを拭きながら、
出来るだけ平静を装うように軽い口調で言うと、
食洗機にお茶碗を入れていたお祖母ちゃんがカウンター越しにこちらを見た。
築30年、木造2階建ての我が家は、
一昨年大規模リフォームをしたばかりで、
お祖母ちゃんの念願叶って対面式のシステムキッチンになっている。
「あら。この前、中間テストが終ったばかりなのに、また何か試験があるの?」
「ううん。期末はまだ先なんだけど……
中間の結果イマイチだったから。
それにね。
進学しないからって油断してると、
あっという間に成績落ちちゃうぞって、
先生にも言われちゃって。
就職するからって赤点取ってもいいって訳じゃないでしょ?
周りも受験ムード高まってきてるし、
あたし達も出来るだけ一緒に勉強しようかって話になったの」
「あらま。勉強したくないから大学には行きたくないって言ってた子がねぇ?」
揶揄するように言うお祖母ちゃんに、
あたしは苦笑を返しつつ台フキンを手渡した。
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