《どうしてアタシだけ?》

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そんな、わたくし篠原ですが、 理由も無く人から嫌われるような人間ではありません。 それは、あたしの人間性が優れている―― とか言う訳ではもちろんなくて。 多分。あたしが平均的な人間だから。 カラーリングもパーマも未経験の黒髪を、 肩甲骨辺りで切りそろえただけのヘアスタイル。 中肉中背で顔も十人並み。   他より際立って優れた所もなければ、劣る所もない、   平々凡々な女子高生。   それに加えて、諍いを好まない平和主義者ゆえ?    自己主張するより、 他の人に合わせる方が楽と言うか、 気が付いたら合わせちゃってる。 ……けれども、 媚びへつらって追従している訳ではなくてですね? 「んもう。リオたんったら。 現実逃避してないで、 早く行った方が賢明だぞ?」 隣の席で一緒にお弁当食べていた 菊ちゃんこと菊川美穂ちゃんが、 理知的な中身が滲み出ている面貌に哀れみを浮かべて、 あたしの肩をぽんぽんと叩く。 最近のブームは、 漫画家志望の彼女の新作に出てくる アンドロイドの【リアンちゃん】の 口調を真似ること……らしい。 漆黒のショートボブにきりりとした双眸、 そんなお利口そうな外見が正直言って台無し。   あ、いえ、怖いので口にはしませんが。  
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