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「今度は何なのー?
レポート提出遅れたとかー?」
前列の机をこちらに向けて
一緒にお弁当食べていたサクちゃんこと
村山咲良ちゃんが、
色白の童顔に傍目には同情しているように見える表情を浮かべて、
あたしの顔を覗き込む。
「レポート。もう提出したもん。遅れてないもん」
現実に強制連行されたあたしは、
むむっと唇を尖らせた。
お弁当箱を手早く片付け――
なくちゃ。
と思いながらも動きはおのずと緩慢になる。
「課題はー?」
「提出期限前だよ?
……まぁとにかく行ってくる」
盛大なため息を吐き出して、
物理的にも重いお尻を渋々持ち上げた。
「行ってらっしゃい。リオたん。頑張ってね」
菊ちゃんが全然似合わない口調でそう言って、
励ますような笑顔を向ける。
「杏サマによろしくねー」
(綾瀬のあたしイビリを実は楽しみにしているらしい)咲ちゃんが、
にこにこと笑いながらそう言って手を振った。
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