「狂月」

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「椿様、苦しいですか?悲しいですか?」 「あぁ……」 顔を上げずに伏せながら小さい声で呟いた。 「此処から、出たいですか?」 「……」 「ならば、自分を切り捨てて下さい」 「っ!お前……!」 「知ってるんですよ。 何も知らない子供だと思わないで下さい」 そう、いつも通りに館内の掃除をしていた。 そしたら、蛟姐さんと番台の会話が聞こえてきたんだ。 "椿様は最近楽しそうだ、なによりなにより" "部屋から出れたら、の話だろう" "そもそもあそこから出られないのは禿の颯太のせいじゃ" "ここでその話はやめなんし!!" あぁ……そうだったのか。 いつも苦しそうな椿様を縛っていたのは自分だったんだ……って。
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