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今参考にしている本は、昭和55年に書かれたもの。
私が中学のころである。
時代考証のために、日本映画プロデューサー協会が監修した本である。
この本のおはぐろに関する記載に、
「幼い頃、鉄漿をつけたおばあさんが笑うのを見て、あまりの恐ろしさに泣いた」という筆者の言葉があった。
戦前にはまだ、おはぐろのおばあさんがいたのだとか。
きっと、江戸時代の生まれだったのだろう。
おはぐろは鉄漿と書き、「かね」と言う。
鉄を酢や酒に浸して酸化させた液を歯に塗った。
歴史は古く、平安にのぼる。
それほどに、古い日本の文化であった。
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