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少年──ナナオは操縦席のシートベルトを外して平泳ぎするよう腕を掻き、宙に浮かぶノートほどの大きさのパネルを手に持つ。
指をパネルに滑らせ、パネルからKB27惑星の情報を平面画像として浮かび上がらせる。
「えーっとニホン、ニホン……っと。あっ、これかな?」
ナナオの故郷の文字で、ニホンの情報が下から上へと流れてく。ナナオは文字を追い、頭に叩き込む。時おり文字と一緒に画像も添付され、ナナオは興味を惹かれた画像の場所で指をパネルに押し付け流れを止める。
「サムライ? ミハル、見て! ニホンにはサムライがいるんだって。変な髪型してるね。なになに? マゲ……チョンマゲ! 変なのー!」
ナナオは空中で笑いこけ、ミハルにも見えるよう小型パネルを掲げる。
「ミハルも可笑しいよね? あ、でもミハルは花が好きだったっけ? 待ってて、今見せてあげる」
かつてミハルが嬉しそうに花の世話をしていた光景を思い出し、花々の画像を立体化させた。
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