希望の星

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 ナナオは故郷で行った祭りを思い出す。簡易式のお店ではロボットたちが物を売り、最新のゲームもお店で体験出来たりした。  売っている品物は違えども共通するのは賑やかな雰囲気。そして集まる人々の笑顔だ。  建物に音声の焦点を合わせると愉しげに笑い合う声が流れ、ナナオまで愉しくなってくる。 「あの布、なんて書いてあるのかな? 陸奥屋……りくおくや?」  建物の屋上から垂れ下がる白い布。書かれる文字は得た情報から読める。 「ムツヤ。ナナオ、ムツヤデス」 「むつや? あれでむつやって読むんだ。キース、一つ勉強になっちゃった! ありがと!」  無邪気に笑うナナオの顔は蒼白だ。額には玉の汗がいくつも浮かぶ。 「いいなぁ、いいなぁ。僕も行きたいな。ミハルもだよね? え? 急に降りたら驚いちゃうって? んー、でもちょっとだけ。いーじゃ……」  ナナオはまた発作的な息苦しさに襲われ激しく咳き込む。肺からヒューヒューと音がし、瞳も充血している。  清潔な布はさっきので最後。ナナオは汚れた口許を服の裾で拭い、掌はズボンに擦りつけた。 .
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