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「救急箱、持って来ました。うわぁ・・・痛そう」
「痛そうじゃなくて、痛いんだよ!!」
「消毒するわよ?」
文江が救急箱から消毒液と包帯を出した。
「ぐぁっ。ちったー優しくできねーの?うぐっ」
「銃痕だから仕方ないわよね。我慢よ。男でしょ!」
失神しそうな痛みに意識が朦朧とする中、茜の言葉でやっと意識をつないでる状態だった。
「なんか、、、噛む布か、、なんかくれ」
瑠鹿は思いっきり布を噛んで、息を荒げ、時折、唸った。
「(僕が変わってあげれたら・・・)」
祐樹は思った。
『お前の神の光は全てを癒す。だが、それはお前に全部還ってくる』
祐樹は神の言葉を思い出した。
「ルカ?」
「ちょ、ちょっと後にしてくれ。今は、、余裕ねぇ・・・」
祐樹は瑠鹿に抱きついた
『(お願い!神の光!ルカを助けて・・・)』
祐樹と瑠鹿は緑の光に包まれた。
「え?傷が・・・」
文江は傷が塞がっていく腕を見て驚いた。
「これで、もう、大丈夫ですね。良かったぁ~」
祐樹は安堵し、笑顔を見せた。
右腕に走る激痛を我慢しながら。悟られないように。
だが、急に脂汗を流し、声がぎこちない祐樹に瑠鹿は思った。
俺の傷は何処に消えたのか?
なぜ、祐樹が笑顔で脂汗をかいているのか。
「ユキ、腕、見せてみろ」
瑠鹿は怒ったように、乱暴に祐樹を肌蹴させた。
「傷は・・・無いな」
舐めるように腕を見る瑠鹿
「大丈夫ですよ?」
祐樹は笑顔をこぼした
瑠鹿は軽く、祐樹の腕を握った。
「ひっ!」
祐樹は悲鳴を挙げた。
「やっぱり!ユキ、今すぐ、俺に戻せ!戻すんだ!」
「だ、ダメです!出来ません!離して!」
「どういう事?」
文江は頭をかしげた。
「神が言ってただろ。神の光は全てを癒すがユキに返ってくるって!俺の腕の痛みがユキにいってんだよ!戻せ!ユキ!」
荒々しく、瑠鹿が祐樹に凄んだ。
「僕に出来ることはこれだけだから。絶対に嫌です!」
「馬鹿やろう!返せ!」
「絶対に駄目です。僕にしかできない、僕の能力です。使わせてください。傷つかれるのは大嫌いなんです!」
祐樹は瑠鹿の腕を振りほどいて、うずくまった。
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