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その夜
「んっ。はぁ、はぁ、んっ。痛い・・・。」
祐樹は右腕を掴みながら唸っていた。
痛みを受け入れ、その影響で高熱が出ていたのだ。
瑠鹿は祐樹の悶える声で起きた。
「ユキ?」
「あ、起こしちゃいました?」
笑顔で答えるものの、その額には汗がびっしりとかいていた。
「お前・・・。すげー熱じゃないか。あんな事するからだ」
瑠鹿はかまどに行き、水瓶から水を汲んでタオルを用意し、祐樹の看病にあたった。
「ぜってぇ、二度と、すんなよ?」
「はぁ、はぁ、そんな事、、約束できません」
「馬鹿が」
祐樹の身体を拭き、額にタオルを乗せた。
その後、部屋を後にした。
「ふー子、起きろ!」
瑠鹿が向かった部屋は文江の部屋だった。
「なぁ~にぃ?」
文江は寝ぼけていた。
「俺の傷を受けて、ユキが高熱出してる。人狼に頼んで、薬草がないか聞いてくれないか?」
「oh my god!?(何ですって)」
文江は飛び起きた。
数時間後、茜と那由多が解熱の薬草を摘んで来てくれた。
「私達ならそのまま食べるけど。かなり苦いわよ?」
「わたし、薬丸作れる。作るわ!ちょっと、ルカ、手伝って!」
「どうすれば良い?」
「私が、今、イメージするから、私の頭の右側に道具が浮かび上がるの。神子の力を持つ者にしか掴めないんだけど、具現化できるの。取って!」
深呼吸した後、文江は瞑想に入った。
少しずつ、文江の右側の空間が歪んで来たかと思うと、すり鉢のようなものと棒、陶器のような棒と皿の4つが浮き出だ。
「今よ!取って!!」
瑠鹿はその空間に手を突っ込んだ。
「掴める!?貰ったぁぁぁ!!」
それから文江は薬丸を作る作業に入った。
「ユキちゃん、頑張って・・・」
文江は寝ずに薬丸を作り、瑠鹿は看病を続けた。
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