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翌日、小十郎と葵が身仕度を済ませたころ、善が運ばれた。
「沢山ありますね。」
「朝から、こんなに食べられるかね。」
善が運び終わったころ、この家の主人と伊藤俊輔の家族が顔を揃えて、嘉納小十郎と葵に挨拶にやってきた。
「昨夜は、俊輔を助けていただき、ありがとうございます。」
そう言うと、一同が畳に頭を着けるほどのお辞儀をする。伊藤俊輔の母親もいた。
これを見た、小十郎と葵は驚く。
「医療に携わる者として、当たり前のことをしたまでですから、頭を上げてください。」
「今は、なにもできませぬが、嘉納様。長崎の帰りには当方に寄ってくださいませ、そのときにお礼させて頂きますので」
また、家族一同は頭を下げる。
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