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桂家の門を潜ると、手入れの行き届いた和風庭園が目をひく。
その庭園の横を通り使用人に、小十郎と葵は、客間に通された。
待ち兼ねたように直ぐに、桂小五郎が客間に入ってくる。
お互い名乗りあって挨拶をして。
嘉納小十郎の前に、紫色の布で包まれた小判が置かれた。
「これは、なんでしょう?」
「当方の伊藤を助けていただいたお礼と申しますか、その手術代です。」
「手術代ですか、これは、受け取れません。」
「なぜに、」
「まだ、私は、医者ではありませんので、書生の身ですからして。」
「そうかね、あんな見事な手術は、見たことがないと申していたからな。すると、長崎には、蘭方医学を学びにいくのですかね。」
「そのつもりです。」
「では、嘉納殿に、投資しましょう。その金と思ってください。」
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