長州の景

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「とおし?」 小十郎には意味が解らない。当然、今の日本には、株式会社なるものがない。 唯一、坂本龍馬が長崎で、『亀山社中』を創設しているぐらいである。 桂小五郎は、長崎で坂本龍馬にも会っている。 「私は、人材に投資するのが好きなんですよ。」 「しかし、返せる技量は、私にはござりません。」 「いいんですよ、それと、蘭方医学の他に、英国式外科を学ぶといい。」 「英国式外科!」 「当方の村田勇吉も、長崎で、英国式外科を学んでいる。一緒に学ぶとよろしかろう。」 桂小五郎がいう。村田勇吉は、緒方瑞庵塾の門下生、村田蔵六の養子であった。 その英国人のイースキーへの紹介状を小十郎に渡した。 「どうかね。嘉納どの。」 「願ったり叶ったりで、なんとお礼を申したらいいのか…」 小十郎は、葵の方を見て、微笑んでいた、葵も終始にこやかである。 **
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