長崎恋唄 *

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翌朝、田中顕助が迎えにやってきた。 船着き場から、和舟に乗り、沖に停泊している庚申丸に乗り込む。 田中顕助は、嘉納小十郎と葵を船長松岡啓治に紹介して。 桂小五郎、直々の命によると念を押して、自分はオテントサマ号に引き返していった。 松岡啓治は、小十郎と葵を庚申丸内を案内していく。 「嘉納殿、軍艦は初めてでございますか」 「見るも、乗るのも初めてでございます。」 「そうでしたか、私は出航の準備がありますのでこれにて。」 そのあと、庚申丸は錨を上げて下関を出航する。 小十郎と葵は、甲板上から海を眺めていた。 すると、背後から、 「いい眺めでしょう。」 その声で二人は振り返ると、岡田以蔵が立っていた。 **
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