萩尾 万世 その1

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「ちょっと待ってください」と言ったのは誰だったか。  言い出したのはマリオネが24分の5ゲームと発表した直後だった。  その言葉で辺りは静まり、マリオネも言葉を待つように何も語らなくなった。  わずかな間を置いて、「24ってことは24人が参加する、ってことですよね」と言った。  そこでようやく声の主が判明した。待ってください、と言っていたときから妙に気になっていたのは知っている人の声に思えたからで、事実声の主が判明するとそれは知り合いだった。  村崎小町、だったか。オレと同じ【東北地方代表】のひとりだった。 「ええ、その通りです」 「それだったら人数足りなくないですか?」  瞬時には計算できなかったけれど、一の位が3だから、4の倍数にはならず、確かに人数が足りてないような気がした。 「その通りです。24人で三組作ると21人余ることになります」 「……3人足りないってことか」  とまた誰かがつぶやいた。聞き覚えのない声。他のチームだろう。 「というか次は27人だと思ってた」とも誰かが呟くのが聞こえた。
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