第2章

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_同日 日本 東京 野田 暁(ノダ サトル)は世界に絶望していた 昔から成績表の担任からのコメントは「やればできる子」 ただこの表記をすると大半の人が誤解するかもしれない、彼は決して平凡な人間ではなかった・・・ 彼は本当の意味で ・・・・・・・ やればできる子であった 何をしても上手くいくどう失敗しようとしても必ず良い方向に転がる 一見良いことのように思えるがこれは彼から向上心、努力などいろいろなものを奪った 一時期本気で世界を変えようかと思ったほどだ彼の力、才能をもってすれば世界を変えるなどと言うことは決して妄言の類のものでは無かった だが、それをしても結局の所同じことになることを悟りやめた この、おおよそ一般人には理解できない悩みをわかってくれた人は子に世界でただ一人、彼の父親だった だがその父親も昨日死んだ 死因は過労と診断された このフレックスタイム制が主流になった現代で労働基準法などという法律はとっくに昔に無くなり「働きたいものは、好きなだけ働く」というスタイルにシフトチェンジしていた 無論彼の父親も好きな仕事を好きなだけやった結果がこれになりどこにも文句のつけようが無く彼はこうして行き場の無い悲しみと静かな怒りをただ絶望と言う形で表現している所だった
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