第1章

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第1章

*――オオカミ――* 店内は静かで、ゆったりとした空気が流れてる。 客は6名。 全員がおひとり様。 この店は、そういう客層が多い。 その面子を見て、バックヤードに向かう。 今日はもう帰ろう。 家に帰って少し休みたい。 連絡も――。 カラン。 ドアのカウベルが鳴る。 「いらっしゃいませ」 振り向き会釈しようとしたのに、俺は固まった。 黒い髪をゆるやかにウェーブさせた勝気な顔の女が目に入ったから。 「あら? 巽。今日は一段と機嫌悪いんじゃないの?」
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