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「蒼ちゃんってさ、釣った魚を基本お持ち帰りしないんだって」
爽やかな木洩れ日が射し込むオシャレないつものカフェのテラス席。
久しぶりに会った翠さんと2人……のんびりとした時間を過ごしていたとき、そんな事が話題に上がった。
大学を卒業し、お互い仕事を持つ忙しい身となった俺たちだけど、たまにはこうして近況を報告しあいながら過ごす時間をとても大切にしている。
数年前、天涯孤独の身になってしまった彼。
『ひとりぼっちにはさせられない!!』と俺は、蒼麒と一緒に『翡翠の家族』として生きていこうと決めた。
だから、今は『幼なじみ』であり『親友』でもあり…『大切な家族』の一員だ。
それに、翡翠のことを大切に想い続けている、海外に居るあの(報われない)2人からも、『くれぐれも翡翠の事をよろしくお願いしますm(__)m』と、毎日のようにメールが入って来ているし…。
最近は流石にウザイので、即、別フォルダにぶち込んで、そのままにしちゃってるけど。
大丈夫。たまに見てるよ、うん。たまにね(しかも纏めて)
今夜、『翠さんと、お茶したよ~♪』なんてメールに一文入れれば……『羨ましい』とか『逢いたい』とか……「そんな言葉は翡翠に直接送ってやれよ」って感じの返信が山のように来るだろうことが、今から予想出来て可笑しくなった。
「…………かず……聞いてる?」
「あ。ごめん。考え事してたかも」
「んもー。……かずったら……」
『せっかく、夏休みの休暇の日を合わせて、みんなで楽しく遊ぼーよ♪って計画立ててるのに……』なんて寂しそうに愚痴られたから。
「ごめんね、翠さん♪」
謝りながら、上目遣いで幼なじみを見てみれば……彼はテーブルに頬杖をついたまま、楽しそうにクフフ♪と笑ってた。
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