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驚愕の眼差しで見つめてくる和輝に、ニヤリと笑いかけて…。
「まさか。勝つ自信、無いの?得意なゲームなんでしょ?見なくてもクリア出来るんでしょ?」
「そ…そんなワケないじゃん!!…分かった!!勝負しよう!!」
ガチャガチャと音をたてて、明らかに動揺しながらゲームソフトを入れ替える和輝の姿はとても可愛いけれど…。
ここが勝負の分かれ目だから。
普段は、ゲームなんて見てるだけで、ほとんどしない俺だけど、今日は会社の重役会議に出席するより気合いを入れてコントローラーを握る。
「俺が先に行くよ。このステージで勝負しよう。死んだら負けだからね?」
和輝が画面を見なくてもクリア出来ると豪語した、一番最初のステージ1ー1。
陽気な音楽にのり、凶悪な顔をしながら襲ってくるキノコやカメを必死で避けて、イタリア系アメリカ人のおじさんキャラは、なんとか死なずにゴールまでたどり着いた。
「よし!!ゴールしたぞ!!初心者にしちゃ上出来じゃない!?…さぁ、どうぞ、和輝♪」
なんともいえない複雑な表情のまま画面を見つめていた和輝は、無言でコントローラーを受け取ると、ゆっくりとそのスタートボタンを押した。
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