夏の思い出 ぱーと つー♪

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翡翠 side 栄冠が君に輝いちゃう、お城みたいな野球場で、この時期オレたちと同じ年頃の高校球児がキラキラした青春を過ごしている。 勝負の世界は厳しくて、みんなが笑顔で帰れる訳じゃないんだけど、それでも一緒に戦った仲間たちとの素敵な思い出として一生心に残るんだろうな~と思うと、なんか羨ましいっていうか、本当に素敵だなって思う。 オレもカズも、子供のころから野球は大好きで、いつかオレたちも…なんて考えてた時もあったんだよ? まぁ、それは夢で終わっちゃったけど。 でもでも、高校野球は大好きだから、47都道府県の代表校が徐々に決まっていくのを毎日ドキドキしながらチェックしてたんだ。 その日は、紅ちゃんもそーくんもしーくんも予定があるってさっさと帰っちゃって、オレとカズだけがヒマだったから、生徒会室のパソコンさんを使って高校野球をチェックして遊んでた。 大阪のすっごい有名校とか、今は数少なくなった公立高校の出場校とかの名前を見てるだけで楽しくて、かなり暗くなるまでカズとワイワイやってたの。 そしたらある日、そーくんから電話が掛かってきてね「翡翠ちゃん、甲子園に野球見に行こーよ♪」って。 開会式のチケットを5枚手に入れたから、生徒会の全員で遠足行くよ~!って言われて、踊り出したくなるくらい嬉しくなっちゃった。 でも、「びっくりさせたいからカズには内緒だよ?」ってそーくんから聞いて、それから当日までは、ずーっとお口をミッフィーちゃんにして我慢してた。 だって高校野球が好きなカズが喜ぶ顔、オレも見たいもんね~。 そーくんは本当にカズのことがだぁい好きだから、準備も頑張ったんだろうな~って思う。 きっと褒めてもらえるよ♪ イイコイイコって♪
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