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紅音 side
もうすぐ楽しい夏休み~っていうこの7月半ばは、生徒会もいろんな意味で忙しい。
夏休みだからって調子こいてデビューしちゃうアサハカな生徒を抑制することも大事な仕事だし、10月に控えた学園祭の準備も徐々に始めなくてはならないからだ。
だが、そんなツマラナイことはとりあえず置いといて、まずは翡翠くんの事を1番に考えなきゃならない!!と結論付けた俺(達)は、早速行動を開始した。
7月上旬に実施される定期テスト。
心から楽しい夏休みを迎えるためには、翡翠くんには絶対に赤点を取らせてはならない。
そこで緊急会議が開かれて、生徒会役員総出で勉強を教えようってことになったのだ。
でもでも…「紅ちゃん…オレ、英語わかんないの…教えてくれる?」……なんて、ウルウルな涙目で訴えられてごらんなさいって。
まず死ぬからwww
そんな訳で、概算で15回は軽く死んだ俺だけど、結果、翡翠くんは赤点を取ることもなく、今までよりも高い順位でクリア出来ていたようだ。
「ありがと紅ちゃん!」
って、ぎゅーっとハグされたあの日の夜、目が冴えすぎて一睡もできなかったことは、ここに明記しておいても良いかと思う。
ちなみに、いつもそこそこ上位でミッションクリアしてる蒼くんだけど、授業中はいつも爆睡してるし、いつ勉強してんのかな?…って思うんだけど、生徒会室での勉強会の時は、さり気なく和輝の側に行っては邪険にされつつ出題のポイントを教えてあげていたようだ。
うん…愛だね。愛。
さて次は、どんだけ楽しく夏休みを過ごすかってとこなんだけど。
実は、お昼ごろに蒼くんから『放課後モニター室集合!翡翠、和輝には「用事があるから今日は帰る」と言うこと!よろぴく~』ってメールが来てたから、指示に従って翡翠くんには話をしておいたんだっけ。
で、放課後。
そのモニター室に行ってみれば。
「高校野球……甲子園で見てみたいねぇ」
「うん、そーだねぇ」
生徒会室のパソコンを並んで覗き込み、額を突き合わせて楽しそうにクスクス笑っている可愛い小鳥さんたちの様子を、モニター室から覗き見しながらニヤニヤとシタゴゴロ満載で笑う、鼻の下が伸びまくった蒼麒と、そんな蒼麒を冷たすぎる視線でブッ刺す紫峰の姿があったのだった。
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