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……まぁ、その話は置いといて。
今、テーブルの上には三船さんが用意してくれたおせち料理などなど素晴らしい御馳走がところ狭しと置かれていて、みんな好きなように食べたり飲んだりして寛いでいる。
完璧に「我が家状態なの?」ってのが笑えるけど、気のおけない仲間達だしそれでいい。
そういう俺は、だだっ広いリビングに鎮座している蒼麒ご自慢の80インチテレビの前の真っ赤なソファーを陣取って、新年特番でいつもより内容がつまらないテレビ番組を翠さんと2人並んで座ってボーッと眺めていたんだけど、その番組の中でお笑い芸人さんたちがお餅つきをはじめて、出来たてを美味しそうに頬張るのを見ていたから…かな。
ついうっかり口から出てしまった言葉は、もう取り戻すことも出来ずにこの空間に漂っていて、恐る恐る隣を見れば、キラキラと音がしそうなほど期待に満ち満ちて輝く瞳とかち合ってしまい、ああ新年早々ワガママ言っちゃって三船さん本当にごめんなさいとしか言えない状況に肩を落とした。
「翡翠ちゃん待っててね。お餅つきの用意が出来たら三船が呼びにきてくれっから」
「ホント!?わーい!!嬉しいね、かず」
「……………ハイ」
こうなってしまったら、もうどうにもとまらないのは経験上痛いほど分かっている。
笑いをこらえすぎて歪みまくったイケメン紫峰くんの顔が若干気にはなるけど、それならいっそ、一緒になってバカみたいに楽しんじゃった方がいいってことも分かってた。
しばらくして三船さんから声がかかり、庭先に案内された俺達の前には、でっかい臼や重そうな杵。湯気が立ち良い香りの漂うモチ米の入った大きなセイロが用意されていて、「すぐに始められますよ」なんて、法被を着た威勢の良いお兄さんたちが数人で準備をしてくれていた。
それを見た翡翠は踊りだしそうな程に喜んで、ひとりひとりと両手で握手しながら「よろしくお願いします!」なんて頭を下げて挨拶を始める始末。
その輝かんばかりの笑顔と礼儀正しさに、お兄さん達がメロメロになるのを複雑な表情で見つめる紅音と紫峰に今度は俺が苦笑していると、三船さんが場を仕切るようにパンッと大きく手を叩いた。
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