和くんたら、またやっちゃったお話

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「そーちゃん、かず取っちゃってごめんなさい。しーくん、紅ちゃん。ごめんね。俺、今夜はかずと一緒がいいの」 謝らなくていいのに。たまにはさ、幼なじみどうし、積もる話もある訳よ。そこんとこ理解してくれないような殿方とは今後一緒にいられないもんねーだ。 「…わかってるよ、翡翠ちゃん。ゴメンな。俺ら、ちょっと言ってみただけ。少し休んだらさ、腹ごなしに羽根つきトーナメント戦すっから。運動音痴な紅くんの顔にいっぱい墨塗ってやって」 「うん。くふふ…ありがと。じゃ、俺主催のすごろく大会も期待しててね!!」 「おん♪」 そんな彼らを見て、紅さんも紫峰も笑ってる。 なんだかんだと言ってはいるけど、結局みんな優しいんだよね。 で、その後。 案の定、羽根つきが超下手くそで、墨で真っ黒に顔中塗りつぶされた紅音にみんなで笑い、夕食後には、翠さん手作りの怪し過ぎるすごろくで、作った本人を含む全員が恥ずかしい格好にさせられたりしながら、蒼麒の言葉のとおりにお正月を遊び倒した俺たち。 夜遅く、翡翠とお揃いのパジャマを着て一緒のベッドに入ってからも、ずーっと仲良くおしゃべりして『楽しかったね』を繰り返して。 本当に楽しい一日だった。 今年もこうやって、5人で楽しく元気に1年を過ごしていけたらいいねって話しながら、翡翠と手を繋いで眠ったんだけど…。 明け方、安心しきった深い睡眠から意識が浮上して、ふと目を開けると……ベッドの脇には俺と翠さんの寝顔を見ていたのであろう、顔面がダラダラと溶けきった3人が仲良く並んでいた。 紅さんに至ってはビデオカメラまで構えているとか、新年早々その余裕っぷりに呆れた俺は、無言のまま、迷わず三船さんから事前に渡されポケットに入れておいた緊急事態通報用の小型リモコンのボタンを親指で思いっきり押し込んだ。 すぐさま部屋に現れた、俺専用だという屈強なSP軍団。 「…岡田さん。お願いします」 「かしこまりました、和輝さま」 「「「ひえぇぇぇぇぇぇ…」」」 隊長の岡田さんに、あっという間に拘束されて外へと連行された3人を冷たい視線で見送って。 まだ隣ですやすやと安らかに眠っている翡翠の髪を優しく撫でてから、俺もまたゆっくりと瞳を閉じたのだった。 おしまい その後、3人はどうなったのか。 (*'◇')『誰も知らない』んだってさー。(翡翠談)
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