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ヨシヨシと、幼い子供にするように頭を撫でられて……そのあたたかさに顔が赤くなってしまう。
「今日は……『お持ち帰り』にしようかな」
「……なんのこと?」
「キャッチ アンド リリースは、今日はいたしません」
「キャッチ アンド リリース?」
「釣った魚を、その場で海に帰してあげちゃうこと♪……だけど今夜は……姫があんまりカワイイこと言ってくれるからさ…………だから帰しません。さぁ、姫君。一緒にお風呂に入りましょう!!」
「は?なんで??」
言ってる意味が分かんない!
『キャッチ アンド リリース』が、どうして一緒にお風呂になっちゃう訳?
危機感を強く感じて、抱きしめられた腕の中から脱け出そうともがくけれど…。
「……和輝。逃がさないって言ったでしょ?」
黒蒼麒の低音ボイスで耳元に囁かれたら…本当にイチコロで。
…失敗した。そんな話題を出すんじゃなかった……なんて。
ようやく反省出来たのは、早朝の陽射しが眩く輝き始める様子を、ベッドの上でボンヤリと認識した……その時だった。
「社長………すみません。…今日は体調不良です……休暇を…下さい……」
「古宮くん(仕事では夫婦別姓)。君、声が掠れちゃってるし……仕方ないなぁ(いーっぱい哭かせて無理させちゃったしな~♪)。うん、認めましょ♪」
「………………ありがと……ございます(理不尽過ぎるっ!)」
END
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