フリージング レイン １

３．

当日、夕食を作ってから、
待ち合わせのセンターの
駐車場まで車で行くと、
ハンスさんはもう来ていた。

「今来たところですよ」

私はハンスさんの車に乗り換えて
助手席に座った。

ほっとする。
運転が得意でないから、
ハンスさんの車で
マンハッタンまで行けるのは
本当にありがたい。

ハイウエーを30分、
緑豊かな郊外を抜け、
ビル街が見えてくると
もうマンハッタンは近い。

ハイウエーを降りると、
摩天楼の中、
地を這うように車は走り
中心部に近い路上パーキングに
車を止めた。

降りようとしたら
「あ、そのまま、そのまま」と
助手席に私を残し、
一人で先に降り、
車の後ろを通って
助手席のドアを開けてくれた。