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「…っ…うぅっ…ひっく……っ……」 都内のホテルのロビー…華やかに着飾った人達が通り過ぎるなか、人目も気にせずソファーに座り大号泣している友人に少々困り果てていた…。 6月…女性なら誰もが一度は夢見るジューンブライド…高校からの私の親友、間宮歩美…いや…暮林歩美になった彼女…今日、10年付き合った彼とめでたく結婚式を挙げた。 ずっと見守り続けてきた私にとっても、今日ばかりは嬉しさの余り涙が止まらなかった。 …なのに…… 「歩美…っ…綺麗だっ…たね…っ…うっ……良いっ…お式だっ……っ……」 披露宴が終わり、賑やかなロビーの片隅で泣き続ける大学からの友人、古賀史乃。 両親への挨拶を聞いた直後からこの調子…泣き止む気配すらない。 …父子家庭で育った歩美…お父さんへの手紙は会場全体の涙を誘い、あちらこちらからすすり泣く声が聞こえてくるほどで…私も…昔を思い出しながら…涙が止まらなかった…。
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