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「夜までには帰るから探さないで」
そう書いた置手紙を部屋に置いてこっそりと家を出てきた。
今日だけは外の世界を見てみたい。
そんな願いからの行動だった。
外に出て何かあっても別に悔いは残らないし、それはそれでいいと思っていた。
「何処に行こうかな...」
初めての外。何もわからないし此処が何処なのかすらわからない。
「お母さんが前に言ってた海、見てみたいなぁ」
昔よく海のことを話してくれた。
海はお母さんの大好きな場所だから、凜も行けたらいいねって。
でもどうやって海に行くのかわからない。
適当に歩いていると前から来た人に気付かずにぶつかってしまった。
「あっごめんなさい」
慌てて顔を上げると一人の男の子が私を見つめていた。
「お嬢様ってホントに居るんだ...」
なんて謎な言葉を発しながら。
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