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これ以上からかうと、熱が上がってしまうと思い、それからは普通に看病した。
慣れない料理でおかゆを作ったり、薬を飲むのを手伝ったり、睡眠を削りタオルを取り替えたり…
全てが初めてでおぼつかなかったけれど、全力を尽くした。
その甲斐あってか、華蓮さんは予定よりもずっと早い快復を見せた。
「…てまりといると安心する。」
「なんですの?急に。」
「守られてるような気がして安心するんだ。」
「わたくしは一度も華蓮さんを守れていませんのに。」
「そうかな?」
くすくす笑う華蓮さんの顔からは、もう病気の色は消えていた。
「てまりは僕の事になるとすごく一生懸命になってくれる。それだけで十分に守っていると言えるんじゃないか?」
「ふふ、わたくしがいくら一生懸命でも、わたくしの力量では十分に華蓮さんを守れていませんわ。」
「僕はてまりが居ないと、不安で"壊れ"てしまうかもしれない。
僕が"壊れ"ないように、ずっと僕を守って欲しいな。」
わたくしを見つめるその目には、偽りなど一切なかった。
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