第1章  遭難

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「お願いです、 さわ子を探して下さい」 警察署内にいる、 たくさんの警察官の誰一人にも、 友哉のその願いが届くことはなかった。 「明日になって帰らなかったら、 また来てください。 あ、その時は家族の方もご一緒に」 制服を着た警察官はそう言って 立ち上がろうとした。 「そうだ!薔薇色… 薔薇色のホテル」 警察官を何とか引き留めようと、 友哉は必死な声で言った。 「薔薇色のホテル?」 「はい、電話の最後で、 さわ子は間違いなくそう言ったんです」 その時、制服警官の後ろにいた男が、 急に声をかけてきた。 「薔薇色のホテル… 君は今、そう言ったか?」
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