第1章  遭難

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しかし、いざ登山の事となると、 積極的になるのはいつも、 さわ子の方だった。 その日も、標高1800mの 中級者コースであるT山に さわ子が、美夏を誘った。 前日の雨で、山頂付近には霧が出ている という情報だったが、 大学時代からのキャリアがある二人は、 さほど気には止めていなかった。 そしてまだ陽の昇らないうちに、 二人は駅で落ちあって、 隣県へと向かう列車に乗った。 そのさわ子から、恋人の、 麻倉友哉の携帯に電話があったのが、 日曜日の夕方、4時頃だった。
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