第1章  遭難

6/19
前へ
/46ページ
次へ
「もし…し…看板…あった…の 薔薇…のホテ……行って…みる」 「看板が、どうしたんだ?」 さわ子の携帯は、一握りの電波で 繋がっていた。 「看板…見つけた…の 薔薇色の………」 「何の看板を見つけたんだ! 薔薇色って何だ!」 友哉は恋人への心配と、 聞き取れない言葉に苛立っていた。 「薔薇色のホテル」 さわ子の声が、 最後にはっきりそう言って、 電話は切れた。 友哉はすぐにかけ直してみたが、 さわ子の携帯にはもう、 電波は届いていなかった。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加