第1章  遭難

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「薔薇色のホテル…」 友哉はすぐにパソコンで調べてみたが、 隣町はおろか、日本中のどこにも そんな名前のホテルはなかった。 「ホテルじゃないのか? そもそもなぜ、そんな山の中に 看板なんてあるんだ…」 友哉は焦っていた。 もうすぐ日が暮れる。 夜の山の怖さは、 登山をしない友哉にさえわかる。 友哉は警察に電話しようとして、 その手を止めた。 それは、さわ子たちが 登山の素人ではなかったし、 少なくとも彼女達は、 携帯の電波が届く範囲の 近くにいる。 そして、居場所を説明できない自分が 連絡するより、いざとなれば、 電波の入るさっきの場所まで戻って、 さわ子自身から救助要請の連絡を 入れた方がいいと思ったからだ。 それはさわ子自身が 一番よくわかっているだろうし、 友哉は彼女を信じている。 何より、こんな状況にあっても、 さわ子と一緒にいるのが あの、緑川美夏だということが、 友哉には心強かった。
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