第1章  遭難

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友哉はこれまでに何度か、 緑川美夏と食事をしたことがある。 もちろんその時は、 さわ子も同席しているのだが。 美夏に恋人はいなかった。 いなかったというよりも、 本人が作ることを望んでなかった。 「だって、束縛されるのとか嫌だし、 一人の方が気楽でしょ」 いつか美夏は、 笑いながらそう言った。 「じゃあ、友哉みたいな人と 付き合えばいいのよ」 さわ子は答えた後、 ね、というような顔で、 友哉の方を見た。 何と返事していいのか分からず、 ただ顔を赤らめる友哉を見て、 美夏はまた、笑った。
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