偶然

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土井は風呂からあがるとバスタオルをぐるぐる巻いて、倒れ込むようにベッドに潜り込んだ。 横を向くと長丸が気持ち良さそうに眠っていた。 「……利さん?」 「………」 土井は目だけを上に向けて徳永を見た。 「……病院に行きましょう……僕が付き添いますから…」 徳永の話を無視するように目を閉じた。 「前からでしょう……食べられなくなったら………ねえ」 徳永の大きな手が土井の濡れている髪を撫でた。 「いいから…ほっとけ…」 土井は隣に寝ている長丸を抱きかかえ眠りにつこうとした。 風呂上がりの土井の胸に長丸が鼻先を当てた。 「……土井の…匂いだ…」 土井は驚いて長丸を見た。 長丸は寝ぼけているのかむにゅむにゅと口を動かしながら目を閉じていた。 「寝ぼけてる?」 「どうしました?」 徳永がベッドの土井を覗き込んだ。 「何でもない……」 土井は徳永を放って、長丸の背中を撫でて眠りについた。
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