偶然

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耳に微かなスマホの呼び出し音が聴こえた。 俺は無視して聞き流した。 数分もしないうちに、また鳴った。 腹が立って、また流してやった。 そのまた数分後に呼び出し音が流れた。 俺は流石にスマホへ手を伸ばした。 「もしもし…」 『あっ……』 誰だ……? 「あっ」で止まっていやがる。 こちらも暫く黙ってやった。 『すみません……寝てました?』 聞き覚えのある声だ。 「寝てました。なので、また、寝ます」 『ええっ!ちょっと待って下さい』 自分は面倒が嫌な質で、スマホの電源を切った。 鬱々した日に電話をしてくる方が悪い。 これで暫く眠れる…… 土井利彦はゆっくりと目を閉じた。
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