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唖然
次の日の朝、土井は長丸の声で目覚めた。
「土井、おしっこっ!」
土井は窓際のベッドに潜っていた。
長丸は窓際のベッドまで来ると土井を揺さぶった。
隣に徳永が気持ち良さそうに寝ている顔を長丸は睨んだ。
「土井、もらすぞっ!」
土井は寝ぼけながら呼ばれた方に顔を向けた。
「トイレだっ!」
自分の顔の前に長丸が怒った顔を向けている。
「ひとりで行けよ。眠い……」
「ヤダっ!もらすぞ」
土井はベッドから起き上がろとして、慌てて近くに投げてあったバスローブを着た。
素っ裸で寝ていたのを忘れていた。
土井は長丸を何とかトイレに連れて行った。
そのついでに土井は長丸とシャワーを浴びた。
土井は長丸を着替えさせたが、まだ眠気が抜けない。
「おいっ!」
ベッドで気持ち良さそうに眠る徳永の鼻先に土井は顔を向けた。
徳永は寝ぼけながら土井の首に手を回した。
「コーヒーを頼んでもいいか……」
「いいですよ…」
徳永はまだ夢心地である。
土井は首に巻かれた手を無理矢理解いた。
土井はフロントに電話してモーニングセットを三人分頼んだ。
高く着いても俺の知った事ではない……
土井は薄ら笑いを浮かべた。
その傍で長丸が土井のトランクスを見つけて振り回し始めた。
「クソがきっ!」
土井と長丸は睨み合った。
「ごめん。お兄さん疲れてるから返して……」
土井は長丸にトランクスを思い切り顔にぶつけられた。
そのトランクスを急いで履いて、昨日と同じ姿になり、ちゃんとしたサラリーマンになった。
土井がタバコを吸い始めると部屋のベルが鳴った。
部屋の扉を開けるとモーニングセットが届けられた。
「凄い…人生初…」
テーブルにコーヒーとパンとスクランブルエッグが並べられた。
「長丸。朝ご飯だ」
長丸は駆けて来てソファにちょこんと座った。
土井はオレンジジュースを長丸の前に置いた。
「どれでも食べていいぞ」
土井はコーヒーに手を伸ばし一口飲んだ。
「……美味い…」
眠気が飛ぶ……
また、タバコに火を点けた。
「土井も食え。身体に悪いぞ」
「食うよ……」
土井は長丸に怒られた。
ガキになめられてんな……
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