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「小田さん、ご無事でなによりです」
そこにいつ現れたのか公安局の藤堂がいた。
「あれ?土方くんじゃないの?」
「ああ…土方さんなら長丸くんを探しに行きましたよ」
「何だよ。この前のお礼にと加勢したのに、ちゃかり俺の後つけやがって」
小田はむくれながらメガネを掛けた。
倒れていた男達はいつの間にかどこかへ連れ去られていた。
「この方が徳永さん?」
藤堂は爽やかに笑うと右手を出した。
「公安局の藤堂と言います。よろしく」
徳永は握手をされ、自分の名前が知れている事に驚いた。
「あなた達は、いったいどこの人ですか?」
「あなたが生まれた時代の人です」
藤堂は自分の言った言葉が面白かったのか笑い出した。
「小田さんみたいに未来から来ました。とか、言わないですよね」
「ええ、小田さんみたいに……です」
何だ……この人たち……
徳永は頭を掻いた。
現実はどこまでなのか分からなくなった。
「小田さんがここにいると言う事はあの先は潜入不可ですか?」
「たぶんな」
小田は腕組みをして日枝神社の奥の空を見上げた。
「どうしてですか?」
徳永が話に加わった。
「潜入に失敗すると時空の迷子になってしまいます」
「迷子? 」
「そこから脱出が出来なくなります」
「では、利さんは二度とここには戻れないって事ですか?」
「どう言う状況でそうなったか調べないといけませんね」
小田は静かに答えた。
「長丸くんが……」
藤堂は話を途中で止めて誰かと喋りだす。
「では、私はこれで失礼します」
藤堂はそう言って少し歩くと姿が消えた。
それを見た徳永の顔が固まっていた。
「暫く待ちますか?連絡がくるまで」
小田は徳永の肩を叩いた。
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