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長丸様が我が松平家にお越しになったのは１歳の頃でございました。
とある研究所から貰われて来たのでございます。
私、大場が御主人様より長丸様の養育係りを仰せつかりました。長丸様は健やかに成長され、３歳になる頃には大変優秀な遍歴を見せておいでになりました。
長丸様は災難を回避する能力をお持ちになっていたのです。
松平グループ企業の様々な事を的確に言い当て周囲を驚かせていました。
皆様から「リトルトレジャー」（小さな宝物）と呼ばれてとても可愛いがられておりました。
それが今年の始めに御主人が急死されたのでございます。
長丸様は松平家の家督争いに巻き込まれてしまいました。
その際に、長丸様が遺伝子組み換えのクローン人間だと世間に公開されてしまったのです。
その珍しい子供の長丸様を大人たちが奪い合うようになりました。
一番恐ろしい事は手に入らなければ長丸様を殺害しようとする者まで現れたのです。
私は長丸様を何処かへ隠す事を考えました。
元研究所の方に接近して色々な事を伺い、その中に「土井利彦」様のお名前があったのでございます。
その時に徳永様の話も伺いました。
長丸様と同じクローンだど言う事と土井様の近くにおいでだと。
長丸様は私がお話する前からこちらに行くと仰せになり、
「土井と言う男を助けに行く」
と、言い出したのでございます。
私は、「小さな宝物」が居なくなり静かな世の中になって頂くまで、こちらの世界へ身を寄せていようと思ったのでございます。
しかし、事件は重大になるばかり……このような事になってしまったのでございます。
大場は事の顛末を話終えて、ゆっくりと目を閉じた。
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