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ぼんやりした意識の中で、土井のスマホが鳴った。
「利さん、電話が鳴ってます」
徳永は土井を揺り動かした。
片目を開けてズボンのポケットに手を入れた。
スマホの煩い呼び出し音楽が鳴っていた。
「もしもし、土井です」
土井の意識は覚醒半分という感じだった。
「えっ!」
土井が飛び上がるように起きた。
「分かりました。ありがとうございます」
土井が放心状態でスマホを切った。
「何があったんです?」
「東京の本社に移動になった。6月から…」
土井がじっと徳永を見る。
「殴れっ!」
「えっ?」
徳永は土井の頭を軽く叩いた。
「軽く痛い……現実か?」
土井がわあーっと叫んだ。
「昨日の3件回って契約が取れたんだ。それが良かったらしい」
土井は徳永の肩をバンバン叩いた。
「じゃあ、僕のマンションに引越ですね」
土井の顔が引きつった。
「何でそうなる」
「きっと直ぐに見つかりませんから、アパート」
「絶対探すっ!」
徳永は土井の嬉しいそうな顔に満足していた。
本当に長丸くんは『Little Treasure』だったんだ……
徳永はクスリと笑った。
「小さな宝物に感謝ですね」
徳永は土井の頭を抱え込むと唇に軽くキスをした。
「変態っ!」
徳永は土井に平手打ちを食らった。
これだけはダメみたいです……
長丸くん……
徳永は土井を見てケラケラと笑った。
Little Treasure
…《END》…
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