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「僕も写真なら見たことがありますよ」
「傑作でしょ」
「どんな写メだったんですか?」
また、徳永は土井に睨まれた。
「お前ら俺で遊ぶな」
佐々木はその言葉を無視して話出した。
「女子から見せて貰ったんですけど、先輩がメイドさんにギュッと抱きしめられてる写メだったんですよ。女子がキャーキャー騒いでて…あのメイドさんは誰だったのかな?先輩?」
土井は佐々木の口に餃子を押し込んだ。
徳永はあの写真の男だと分かる。
しかも、名前まで知っている。
利さんは忘れていても僕は知っている……
「知るか……そんなやつ…」
土井は遠い記憶を呼び戻そうとしていた。
「そう言えば徳永さんみたいな人だったよね。先輩?」
「はあ?」
土井は呆れて佐々木を見た。
「……全然、違うだろう」
土井は暫くチャーシューを突つて、何を考えているのか遠い目をしていた。
「どんな写メだったんですかね」
徳永は意地悪く追い討ちをかけた。
「こんな感じ」
佐々木は土井の頭を抱え込み自分の肩の上に寄せた。
土井の反応がない。
そのままで固まっている。
「離せ……」
土井は低く小さな声で呟いた。
「って、こんな……」
佐々木から離れた土井の顔が今にも泣きそうな顔をしていた。
そんなに、あの男が良かったんですね……
徳永はちょっとイラついた。
「その写メが見たかったですね」
徳永はわざとにっこりと笑って言った。
「残念。携帯変更の時になくなっちゃって」
佐々木は盛り上げようとケラケラと笑った。
「先輩、飲んで下さい」
土井にビールを勧めてグラスに注いだ。
また、土井は一気に飲み干した。
「今度、いいお店を知っているので行きましょうよ。すげー可愛い娘がいるっす」
「分かった。行くっ!絶対行く」
土井は佐々木と肩を組んだ。
「ですよね。メアド教えて下さい」
「よし」
佐々木と土井でこそこそとメアドの交換をしていた。
「徳永さんも…」
「こいつはいらん」
「えっ、俺が欲しいです。先輩だけズルいですよ」
佐々木がメアドの交換を求めてきた。
徳永は病院の名刺を佐々木に渡した。
「連絡を取るならここにして下さい」
「うぉぉっ!すげー」
佐々木は名刺で興奮していた。
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