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豪快に笑う少しも悪びれた様子のない男に呆れながら眉間を抑えた女は、溜め息をもう一つ吐くと、アニエスの隣に腰を下ろしてきた。
「母様?」
「そこの名前だけのお飾り君主の代わりにあれこれ仕切って指示をしてきたの。少しぐらい休んだって、文句言わせないわ」
「アウロラに任せておけば安心ですぞ!! 儂の出る幕なし!!」
「威張って言うことかしら」
声をあげて笑う男は確かに胸を張って言えることで、決してない。
女の口ぶりからして男は国の主君……つまり、王、であり、アウロラと呼ばれた女はその伴侶のようで。
国の実権を握るのは本来王の立場の人間だけなのだが、この国ではどうやら后の方が強いらしく、王も王とで后に絶対的な信頼を寄せている為に、王が得意としない分野の指揮権は后に安心して任せているようだ。
まぁ任せられた后であるアウロラとしては決して本意ではないらしく、眉間には皺が寄ってしまっている。
それを見て取ったアルアはアウロラの味方らしく、うんうんと頷いてアルアの注意に同意見を示した。
「どうも儂は持て成すとか苦手だからな。でっかいことをするのは大得意だが、他所の大事な客人を持て成すには芸がない。それに、客人も綺麗な女に持て成された方が嬉しいってものですぞ」
「今大事な客人の相手をしているのは、あの子、だけど?」
「…………きっと粗相はない!!」
不安になってきた。
王は豪快に笑い出したが、アウロラがあの子を言った途端にアルアは内心強い不安感に襲われてしまい、今頃客人がどうなっているのかが猛烈気になってしまった。
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