第1章

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感想らしき言葉も聞けず、初回の感触としては微妙な雰囲気。 会計の最中も、終始難しい表情だった。 正直、もう来ることはないかな、と思っていた。 しかし、それから1ヶ月間、彼は3日に1度は通院するようになっていた。 「来たぞ~」 「小さい店だから来たら見えますよ」 「そう?」 1ヶ月前と違うのは、通う回数に伴い、会話に遠慮がなくなってきたこと。 ヒゲが無くなり、髪が短髪になったこと。 1週間前に訪れた時は院内が騒然とした。 少し年齢は感じるけれど、ヒゲのないあなたは誰が見てもカッコイイ部類の人だったから。 飄々とした雰囲気のあなたは、私を指名し続け、私の予約がいっぱいだと次の日の私を予約する。 私にとって代わりたい女性整体師は、私なら空いてますよ、と自分のところに予約を入れようと必死。 それでもあなたは私を指名し続けた。
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