第3章

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淹れたコーヒーは一口飲んだっきり、減っていない。 目の前の理紗(リサ)は、無表情のまま私の言葉をひたすら聞いてくれている。 そんな理紗に私は、一気に吐き出すようにして、池田さんとの出会いから、今日までの出来事を話した。 私の手が、怪我の状態を良くする、という言葉にも反応はない。 「……で、実加は私になんて言ってほしいの?」 「え?」 「止めてほしいの? 背中、押してほしいの? どっち? 」 大きな目が私を真っ直ぐに捉えて離さない。 「それは、わからない」 「うそつき」 うそ……つき? 「答え……出てるけど、踏み出すことが怖いだけでしょ?」 そうなのかな? 「迷ってる時点で、答え出てるじゃない」
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