第3章

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「でもさ、不思議だね。 実加にそんな力があるなんて」 私も、そう思う。 だって、私自身が半信半疑。 だけど、理沙は不思議がるだけで、疑わない。 「本当のところは、私にもよくわからないんだけどね」 「まぁ実加はやってる側だし、そうだろうね」 理紗は私の手をとり、じ~っと眺めた。 「でも、この手は池田さんに対するひとつのアピールポイントにはなるよね。 しかも、他の人には出来ないことなんだから」 「なんかそれ、卑怯じゃない?」 「私に相談するってことは、引き返せないぐらい、好きなんでしょ? だったら、利用できるものはなんでも利用しないと。 ただでさえサッカー選手とかモテそうだし」 「……やっぱりそう思う?」 「そりゃそうでしょ? しかも日本代表になったことがあるぐらいのトップ選手なんでしょ? アナウンサーやら、モデルやら、芸能人とくっついたっておかしくないよ」 「うわぁ……まったく勝てる気しない」 「勝てる勝てる、この手があれば」 「やっぱりそれ、うれしくない」 「冗談だよ。 実加なら大丈夫」 なんの根拠もない言葉なのに、背を押される。
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