第9.5章

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* 「つきましたよ」 あぁ、彼女の声が聞こえる。 ついに幻聴まで聞こえるようになったか? 「起きて下さい」 そういえば、こんな風に眠っている俺を起こしてくれることを望んでいたな。 「高槻さん!着きましたよ」 声色が、俺の望むものからズレてきた。 重い瞼を開くと、眉間にシワを寄せた彼女が、視界を覆っていた。 「え?」 「空港、着きましたよ」 言葉通り、彼女の後ろには空港が見えた。 「あ、あぁ」 思考がやっと今に追いつく。 ……そうだった。 彼女は今、俺と一緒だった。
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