第1章

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私の仕事は整体師。 体のコリをほぐし、歪みを整える。 私は施術(マッサージ)が上手い方ではないが、年上受けが良い。 そのおかげで、私はそこそこ指名を得ることができていた。 これは私にとって大きい。 整体師は営業の仕事と同じように、歩合で給与が決まるからだ。 「そこそこ、気持ちいいわぁ」 「背中も張ってますね」 指を入れると痛そうなぐらい硬くなっている。 私はさするように、背中をほぐしていく。 「お姉さん上手ねぇ」 「そうですか?  ありがとうございます」 支払いを終えたさっきの患者さんが、私のところに戻ってきた。 「ねぇ、私の知り合いに腰を痛めてる人がいるんだけど、今度連れてきてもいい?」 「もちろん大丈夫ですよ。  都合のよい日時がわかったらご連絡ください」 これが、私と彼が出会うきっかけ。
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