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「お邪魔します」
遠慮がちに二度目の我が家に上がる彼。
とてもあの大観衆を虜にした選手には思えない。
夢でも見てきたかのように、現実感がない。
しかも、それが好きな人ときてる。
ますますもって現実離れしてくる。
「座って待っててください」
そう言って、私はベッドの準備をする。
まっさらなタオルをベッドに敷き、彼の居場所を作った。
好きな人じゃなく、患者の、だ。
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