第1章
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「お邪魔します」 遠慮がちに二度目の我が家に上がる彼。 とてもあの大観衆を虜にした選手には思えない。 夢でも見てきたかのように、現実感がない。 しかも、それが好きな人ときてる。 ますますもって現実離れしてくる。 「座って待っててください」 そう言って、私はベッドの準備をする。 まっさらなタオルをベッドに敷き、彼の居場所を作った。 好きな人じゃなく、患者の、だ。
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