第2章

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何の香りだろう。 柔らかい匂い。 気分が落ち着く。 さりげなく見渡した部屋は、前回と同じように間接照明で少し暗い。 店とは違う折り畳みベッドに横になると、彼女は手慣れた仕草で俺の身体にタオルを掛けた。 「じゃ、やりますね」 タオル越しに手が触れ、熱と一緒に圧が入る。 枯れた身体が、彼女の触れた部分から生き返っていく。 大袈裟に聞こえるかもしれないが、誇張でもなんでもない。 本当に、生き返る。 医者ですら匙を投げた、この身体が……。
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