第2章

4/33
前へ
/251ページ
次へ
チームトレーナーや、その道の権威といわれる人々に手を尽くしてもらっていた俺は、全く期待することなく彼女の店に向かった。 病院より壁の白くないその店は、こじんまりとした規模の店だった。 中に入ると、女性の声がいくつか聞こえてくる。 予約していることと、名前を告げると担当らしき女性が出てきた。 「佐藤 実加といいます。 よろしくお願いします」 丁寧な仕草で、落ち着いた声が自己紹介をする。 肩よりも伸びた黒髪は、後ろでくくられていて、しとやかな雰囲気を作っていた。 自分より一回りほど年が若そうに見えるその子を見た俺は、さらに期待しないように自分にクギを刺す。 この子が、今まで俺を診てきた人達より上だとは思えない。 問診票を渡されるが、その気のない俺は適当に記入し、ほとんどが白紙のまま 「佐藤さん、適当に全身お願い」と告げた。
/251ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1174人が本棚に入れています
本棚に追加