1174人が本棚に入れています
本棚に追加
チームトレーナーや、その道の権威といわれる人々に手を尽くしてもらっていた俺は、全く期待することなく彼女の店に向かった。
病院より壁の白くないその店は、こじんまりとした規模の店だった。
中に入ると、女性の声がいくつか聞こえてくる。
予約していることと、名前を告げると担当らしき女性が出てきた。
「佐藤 実加といいます。
よろしくお願いします」
丁寧な仕草で、落ち着いた声が自己紹介をする。
肩よりも伸びた黒髪は、後ろでくくられていて、しとやかな雰囲気を作っていた。
自分より一回りほど年が若そうに見えるその子を見た俺は、さらに期待しないように自分にクギを刺す。
この子が、今まで俺を診てきた人達より上だとは思えない。
問診票を渡されるが、その気のない俺は適当に記入し、ほとんどが白紙のまま
「佐藤さん、適当に全身お願い」と告げた。
最初のコメントを投稿しよう!