第2章

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空に抜けるような笛の音が、試合の始まりを告げた。 芝生を踏み込む足の感触が、今日も俺の調子はいいと教えてくれる。 ……だが、調子が良くてもボールが来ないと意味がない。 試合は中盤でのボールの奪い合いが激しく、前線までボールが全く回ってこない状態が続いた。 待ち切れずに中盤まで下がっても、チャンスには繋がらず、どちらも決定機を生み出せない。 頼みの綱の憲司も、マークが厳しく思うようにプレイできていない。 今日のチャンスは少なそうだな……そう思っていたところで前半終了の笛が鳴った。 試合の後半、俺は積極的に走り、相手チームにプレスをかける。 無駄でもいい。 小さくても、なにかのキッカケになれば……。
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